「無添加」が法律・公正競争規約・定義なしのどこに位置するかと、ペットフード安全法で上限が決まっている添加物を示した図 「無添加」が法律・公正競争規約・定義なしのどこに位置するかと、ペットフード安全法で上限が決まっている添加物を示した図

無添加の犬のおやつ、どう選ぶか|表示の読み方と、上限が決まっている添加物

結論から書きます。「無添加」という言葉に、法律上の定義はありません。

ペットフードの安全を定めた法律にも、その省令にも、「無添加」の定義は書かれていません。つまり、その一語だけでは中身を判断できないということです。見るべきなのはパッケージ表側の言葉ではなく、裏面の「原材料名」の欄です。ここには、使った添加物も含めて全部を書く義務があります。

この記事では、法律で決まっていること、決まっていないこと、そして裏面のどこを見れば判断できるのかを、出典つきで整理します。

「無添加」とは何か

「無添加」とは、法令上の定義を持たない表示です。使ってはいけない言葉ではありませんが、使うための統一基準が法律の側にないため、書き手によって意味の幅があります。

基準がまったく無いわけではありません。「ペットフードの表示に関する公正競争規約」(令和6年9月30日 公正取引委員会・消費者庁 告示第4号)には、「無添加」「不使用」を表示できる条件が定められています。

  • 何が無添加なのか、対象の原材料名を明確に併記すること
  • その原材料が、全製造工程で使われていないと確認できること
  • 添加物について書く場合は、加工助剤・キャリーオーバー・栄養強化目的のものを含めて一切使っていないこと

ただし、ここに落とし穴があります。公正競争規約は事業者が自主的に設定するルールなので、規約に参加していない事業者には適用されません。農林水産省のQ&Aも「ペットフード公正取引協議会の会員でなければこれらの表示は任意です」と明記しています。

つまり「無添加」の四文字は、根拠のある会社が書いても、そうでない会社が書いても、同じ四文字に見えるということです。

法律で決まっていること

「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(通称ペットフード安全法、2009年6月1日施行)は、農林水産省と環境省の共管です。対象は犬と猫。おやつやビスケットも対象に含まれます。

この法律で、販売されるペットフードには次の5項目の表示が義務づけられています。

  1. 名称
  2. 原材料名
  3. 賞味期限
  4. 製造業者・輸入業者または販売業者の氏名または名称および住所
  5. 原産国名

農林水産省のQ&Aでは、原材料名について「使用した原材料(添加物を含む)を全て記載する必要があります」としています。つまり、添加物を使っていれば、裏面の原材料名に書かれているはずだ、ということです。

ひとつ注意点があります。原材料名の記載順序は、ペットフード安全法では規定されていません。「使用量の多い順」というルールは公正競争規約の側にあり、規約に参加していない事業者には及びません。順番から配合量を推し量るときは、この前提を頭に置いてください。

上限が決まっている添加物

ペットフード安全法の成分規格(愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令)では、いくつかの添加物に含有量の上限が定められています。禁止ではなく、上限つきで使用可、という形です。

物質名 上限値 主な用途
亜硝酸ナトリウム 100 g/t 発色剤
エトキシキン 75 g/t(犬用) 酸化防止剤
エトキシキン・BHT・BHA の総和 150 g/t 酸化防止剤

BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)とBHA(ブチルヒドロキシアニソール)に単独の上限値はなく、エトキシキンと合わせた3物質の総和で管理されています。

ここは誤解されやすいところなので、はっきり書いておきます。これらが入っていても、上限内であれば法律違反ではありません。酸化した油脂のほうが体に負担になる場合もあり、酸化防止剤そのものが悪、という単純な話ではありません。判断材料として知っておく、という位置づけです。

なお、明確に禁止されている添加物もひとつあります。プロピレングリコールは、猫用のペットフードに使ってはならないと省令に書かれています。犬用には適用されません。猫にも同じおやつを分けている場合は、この一点だけ覚えておくと役に立ちます。

添加物以外にも上限がある

成分規格では、添加物のほかに農薬・カビ毒・重金属にも上限が定められています。おやつを選ぶ話からは少し離れますが、「ペットフードの安全」がどこまで法律で見られているのかを知る材料になります。

物質名 上限値
アフラトキシンB1(カビ毒) 0.02 μg/g
デオキシニバレノール(カビ毒) 2 μg/g(犬用)
3 μg/g
カドミウム 1 μg/g
無機砒素 2 μg/g
メラミン 2.5 μg/g

穀物を使う製品ではカビ毒、内臓や骨を使う製品では重金属が、それぞれ管理の対象になります。

裏面の読み方

実際に店頭やネットで判断するときの、四つの手順です。

1. 原材料名の欄を最後まで読む

表側のキャッチコピーではなく、裏面の原材料名を読みます。ここに書かれていないものは、原則として使われていません。逆に、書いてあるのに読み飛ばしたものは、使われています。

2. 用途名+物質名の組み合わせを探す

添加物は「酸化防止剤(BHA)」「発色剤(亜硝酸Na)」のように、用途名と物質名で書かれます。この形の表記が並んでいるかどうかで、添加物の有無はおおむね判断できます。

3. 原材料の数を見る

原材料が一種類なら、判断はそこで終わります。数が増えるほど、何のために入っているのかを一つずつ確認する必要が出てきます。多いことが悪いのではなく、確認の手間が増える、という話です。

4. 「無添加」と書いてある場合は、何が無添加なのかを確認する

公正競争規約の基準では、無添加である対象の原材料名を併記することになっています。「無添加」とだけ書かれていて、何が無添加なのかが書かれていない場合は、その一語からは何も読み取れません。裏面に戻ってください。

「無添加」でも安心とは限らない三つのケース

  1. キャリーオーバー:原材料そのものに含まれていた添加物が、最終製品に持ち越されている場合。公正競争規約の「無添加」基準はこれを含めて排除するよう求めていますが、規約に参加していない事業者には及びません。
  2. 加工助剤:製造の途中で使い、最終製品にはほとんど残らないもの。ペットフード安全法上、表示を省略できます。
  3. 原材料の由来が書かれていない:「肉類」「動物性油脂」のような書き方では、何の動物のどの部位かが分かりません。添加物の話とは別に、ここが不明なままだと、アレルギーの切り分けができなくなります。

三つめは、実は添加物より切実です。合わない食材を特定したいとき、原材料名が具体的でないと、消去法が使えません。

Rawtoの場合

ここだけは、私たちの商品の話をします。

鹿肉ジャーキー鹿肉ふりかけの原材料名は、どちらも「国産鹿肉」の一語です。裏面の表示が一行で終わります。香料・保存料・着色料は使っていません。成分は粗たんぱく質66.1%、粗脂肪10.3%(Rawto実測値)です。

原材料が一種類だけなのは、こだわりというより、説明できる範囲でしか作らないと決めているからです。京都・舞鶴で獣害対策として捕獲された鹿を、猟師のイズミさんが捕獲から加工まで担当しています。捕獲は銃を使わない箱罠だけ。だから鉛が肉に残るリスクを低く抑えられます。加えて、金属探知検査を通しています。

木の板の上に並べたRawtoの鹿肉ジャーキー。原材料は国産鹿肉のみ
原材料は「国産鹿肉」の一語だけ。味つけも保存料も加えていません。

詳しくはRawtoのこだわりと、犬に鹿肉、寄生虫は大丈夫?をご覧ください。

よくある質問

Q. 「無添加」と書いてあれば安全ですか?

「無添加」に法令上の定義はないため、その一語だけでは判断できません。公正競争規約には基準がありますが、規約に参加していない事業者には適用されません。裏面の原材料名を確認してください。

Q. 添加物が入っていたら避けるべきですか?

一律に避けるべきとは言えません。ペットフード安全法では、亜硝酸ナトリウム100 g/t、エトキシキン75 g/t(犬用)など、上限つきで使用が認められています。酸化した油脂のほうが負担になる場合もあります。何がどのくらい入っているかを知ったうえで選ぶ、という順序が現実的です。

Q. 原材料名は、多い順に書いてありますか?

ペットフード安全法では記載順序を規定していません。「使用量の多い順」は公正競争規約の側のルールです。順番から配合量を推測するときは、この前提を踏まえてください。

Q. 犬用のおやつを猫にあげてもいいですか?

成分規格では、プロピレングリコールを猫用のペットフードに使ってはならないと定められています。犬用の製品にこれが使われている場合、猫に与えるのは避けてください。また、犬用のおやつは猫の総合栄養食の代わりにはなりません。

Q. 結局、何を見て選べばいいですか?

原材料名の欄です。書いてあるものが具体的で、数が把握でき、用途名つきの添加物表記がないか確認できれば、それが「無添加」の四文字より確かな判断材料になります。

出典

  • 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(e-Gov 法令検索)
  • 愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令(e-Gov 法令検索/FAMIC)
  • 農林水産省「ペットフード安全法に関するQ&A」
  • ペットフードの表示に関する公正競争規約・同施行規則(令和6年9月30日 公正取引委員会・消費者庁 告示第4号)

この記事の内容は、記事作成時点で公開されている法令・告示に基づいています。数値や基準は改正されることがあります。個々の子の食事については、かかりつけの獣医師にご相談ください。

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