犬に馬肉と鹿肉、どう選ぶか|優劣ではなく、選び方の話
Sep 15, 2026
先に結論を書きます。馬肉と鹿肉のどちらが優れているかは、私たちには言えません。Rawtoが扱っているのは鹿肉だけで、馬肉を評価する立場にないからです。
その上で、この記事では、どちらを選ぶにしても見ることになる三つの観点を整理します。成分表の小数点を見比べるより、こちらのほうが実際の判断に使えます。
まず、前提をひとつ
馬肉も鹿肉も、高たんぱく・低脂質で、鉄を含む赤身肉として同じ枠に入ります。
そして、おやつとして与えるのは一日に数グラムです。その量では、成分の細かい差が体に届く違いになることはほとんどありません。数字で優劣をつけようとするのは、あまり意味のない比べ方だと思っています。
主食(総合栄養食)を何にするかなら話は別ですが、この記事はおやつ・トッピングの話として読んでください。
観点1。その子が、まだ食べたことのないタンパク源かどうか
牛・鶏・乳・小麦が合わない子に、別のタンパク源を試すという考え方があります。
このとき大事なのは「どちらが優れているか」ではなく、「その子がこれまで食べていないのはどちらか」です。
すでに馬肉で問題が出ていないなら、無理に変える必要はありません。逆に、馬肉入りのフードを長く食べてきた子にとっては、鹿肉が未接触のタンパク源になります。
ただし、「この肉なら大丈夫」と言い切れる食材はありません。どんな食材でもアレルギーは起こりえます。はじめての食材は少量から始めて、皮膚と便の様子を見てください。診断や除去食の判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
観点2。生か、加熱済みか
野生鳥獣の肉は、寄生虫やウイルスのリスクがあるため、生では与えないでください。
市販のおやつであれば加熱・乾燥済みのものがほとんどですが、風干しのように熱をかけずに乾かしただけの製品もあります。「乾燥」と「加熱」は別の工程です。買うときは、どちらなのかを確認してください。
詳しくは犬に鹿肉、寄生虫は大丈夫? 生食と加熱の違い、安全な選び方にまとめています。
観点3。産地と作り方が確認できるか
馬肉でも鹿肉でも、原材料名に「肉類」とだけ書かれていれば、何を食べているのか分かりません。
どちらを選ぶかより、選んだものの中身が説明されているかどうかのほうが、判断材料としては大きいと思っています。都道府県名まで書いてあるか。どう獲られた鹿や馬なのか。誰が作っているか。
原材料名の読み方は無添加の犬のおやつ、どう選ぶかに整理しました。
鹿肉について、私たちが言えること
ここからは、扱っている鹿肉の話だけを書きます。
まず、「鹿肉」とひとくくりにできないということ。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には、鹿の項目が4つあり、値が違います。可食部100gあたりの生の赤肉です。
| 食品 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) |
|---|---|---|---|
| あかしか 赤肉 生 | 102 | 22.3 | 1.5 |
| にほんじか 赤肉 生 | 119 | 23.9 | 4.0 |
| にほんじか えぞしか 赤肉 生 | 126 | 22.6 | 5.2 |
| にほんじか きゅうしゅうじか 赤肉 生 | 107 | 22.6 | 2.5 |
「あかしか」はヨーロッパ系のアカシカで、ニホンジカとは別の種です。輸入の鹿肉はこちらに当たることがあります。
Rawtoが使っているのは京都・舞鶴のニホンジカです。成分表の分類でいえば「にほんじか」に当たります。ただし野生の個体なので、季節や個体差で数値は動きます。鹿肉が、月によって獲れたり獲れなかったりする理由。にも書きましたが、同じ山の鹿でも、時期によって身のつき方が違います。
Rawtoが鹿肉を選んでいる理由
Rawtoが鹿肉を扱っているのは、他の肉より優れているからではありません。京都・舞鶴で、獣害対策として捕獲された鹿がいて、そのままでは活かされずに終わっていたからです。
仕上げているのは、京都・舞鶴のペットフードマルゼン、泉さんです。泉さん自身も猟師で、猟師仲間から鹿が回ってきます。Rawtoが受け取るのは、銃を使わない箱罠で獲られた鹿だけ。だから鉛が肉に残るリスクを低く抑えられます。加えて金属探知検査を通しています。一度に仕上がる量は、多くありません。大量には作れませんが、誰がどこでどう作ったかは最後まで言えます。
商品は鹿肉ジャーキーと鹿肉ふりかけの2種類。原材料はどちらも「国産鹿肉」の一語だけです。粗たんぱく質66.1%、粗脂肪10.3%(Rawto実測値/乾燥後の値)。
作り方についてはRawtoのこだわりをご覧ください。
よくある質問
Q. 犬に馬肉と鹿肉、どちらがいいですか?
Rawtoが扱っているのは鹿肉だけなので、馬肉との優劣を申し上げる立場にありません。どちらも高たんぱく・低脂質の赤身肉で、おやつとして与える数グラムの範囲では、成分の細かい差は決め手になりません。その子がまだ食べていないタンパク源はどちらか、加熱済みか、産地と作り方が確認できるか。この三つで選ぶのが現実的です。
Q. 馬肉から鹿肉に切り替えたほうがいいですか?
すでに馬肉で問題が出ていないなら、変える必要はありません。切り替えを考えるのは、タンパク源を変えたいときや、いまのものが合わない様子が見られるときです。
Q. 鹿肉なら低カロリーですか?
鹿肉は高たんぱく・低脂質の赤身肉ですが、鹿の種類や産地によって値が違います(可食部100gあたり102〜126kcal)。野生の個体なので、季節や個体差でも動きます。比べる相手によって答えが変わるので、一言では言えません。
Q. 馬肉も鹿肉も生であげられますか?
野生鳥獣の肉は寄生虫やウイルスのリスクがあるため、生では与えないでください。市販のおやつは加熱・乾燥済みのものを選び、家庭で肉から用意する場合は十分に加熱してください。
Q. アレルギーが心配です。鹿肉なら大丈夫ですか?
「この肉なら大丈夫」と言い切れる食材はありません。鹿肉は牛・鶏・乳・小麦とは異なるタンパク源なので、それらが合わない子の選択肢になることはありますが、鹿肉でアレルギーが出る可能性もあります。少量から試し、診断は獣医師にご相談ください。
出典
- 文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)/食品番号 11114・11275・11294・11295
成分値は成分表の代表値です。野生の個体は季節・産地・部位によって変動します。個々の子の食事については、かかりつけの獣医師にご相談ください。