なぜ、箱罠だけなのか。|箱罠とくくり罠のちがいと、それぞれのデメリット
Sep 30, 2026
罠には、大きく分けて箱罠とくくり罠があります。
ちがいは、捕らえ方です。箱罠は檻の中に入ってもらい、扉を閉じる。くくり罠は足を締めて動きを止める。それぞれに向き不向きがあり、どちらが優れているという話ではありません。
Rawtoが受け取っているのは、箱罠で獲られた鹿だけです。理由は最後に書きます。まずは、二つの罠のちがいから。
箱罠とは
箱罠とは、檻状の装置の中に野生鳥獣を誘い込み、扉を閉じて捕らえる罠のことです。
金属の枠に網や格子を張った箱を山や田畑の近くに据え置き、中に食べものを置いて待ちます。奥まで入った個体が仕掛けに触れると、扉が下りる。仕組みそのものは、とても単純です。
据え置き型なので、設置には場所と運搬の手間がかかります。そのかわり、一度置いてしまえば、あとは見回りが中心になります。
くくり罠とは
くくり罠とは、地面に仕掛けたワイヤーの輪で、野生鳥獣の足を締めて捕らえる罠のことです。
獣道に小さく埋めて設置します。装置が小さく軽いため、一人で運べ、複数箇所に仕掛けられます。山の斜面のように、箱罠を据えられない場所でも使えます。
箱罠とくくり罠のちがい
| 箱罠 | くくり罠 | |
|---|---|---|
| 捕らえ方 | 檻に誘い込み、扉を閉じる | ワイヤーの輪で足を締める |
| 大きさ | 大きい。据え置き | 小さい。持ち運べる |
| 設置の手間 | 運搬と組み立てが必要 | 一人で、短時間で仕掛けられる |
| 設置できる場所 | 平らで、車が近くまで入れる場所 | 獣道であればほぼどこでも |
| かかった個体の確認 | 扉を開ける前に、外から見て判断できる | 近づかないと分かりにくい |
| 目的以外の動物 | 逃がす判断がしやすい | かかってから気づくことがある |
| 一度に捕らえられる数 | 複数のこともある | 基本は一頭 |
いちばん実務的な差は、「かかった相手を、近づく前に確認できるかどうか」です。箱罠は外から中が見えるので、対象でなければ扉を開けて逃がすという判断ができます。
箱罠のデメリット
いいことばかりではありません。箱罠には、はっきりした弱点があります。
- 重く、高い。一基あたりの費用と運搬の負担が大きく、気軽に数を増やせません
- 置ける場所が限られる。山の斜面や道のない場所には据えられません
- 警戒されると入らない。人の匂いや不自然な設置に敏感な個体は、扉の手前で止まります
- 学習される。一度かかりそうになった個体は、その後入らなくなることがあります
- 見回りが要る。仕掛けている以上、毎日の確認から逃れられません
「箱罠のほうが安全で確実」と言い切れないのは、このあたりが理由です。
くくり罠のデメリット
- 目的以外の動物がかかることがある。足を締める仕組み上、相手を選べません
- 近づかないと状況が分からない。確認そのものに危険がともないます
- 設置の技術差が大きい。同じ道具でも、仕掛ける人によって結果が変わります
- 外れることがある。締まりが浅いと、罠ごと外れてしまう場合があります
それでも数多く使われているのは、設置が軽く、一人で数を仕掛けられるという利点が大きいからです。
囲い罠とは、どう違うのか
囲い罠とは、天井のない柵で一定の範囲を囲い、その中に入った個体を捕らえる罠のことです。
箱罠との違いは、大きく二つあります。
| 箱罠 | 囲い罠 | |
|---|---|---|
| 天井 | ある(箱状) | ない(囲いのみ) |
| 規模 | 一基単位 | より大きく、群れを対象にできる |
天井の有無は見た目の話にとどまりません。法令上の扱いが分かれる部分でもあるため、導入を検討する場合は、お住まいの自治体の担当窓口で確認してください。
罠を使うのに、免許は必要か
必要です。野生鳥獣を捕獲する目的で罠を仕掛ける場合、わな猟免許が要ります。箱罠でもくくり罠でも変わりません。
狩猟免許は網猟・わな猟・第一種銃猟・第二種銃猟の4種類に分かれていて、罠だけを扱うのであれば、わな猟免許のみで足ります。銃の免許は要りません。
あわせて、狩猟として行うなら狩猟者登録が、田畑の被害を防ぐ目的で行うなら行政の許可が必要になります。このちがいは狩猟と有害捕獲の記事に整理しました。
獲れる量は、罠の種類では決まらない
「どちらの罠がよく獲れるか」という問いは、実はあまり意味がありません。
獲れるかどうかを左右するのは、罠の性能よりも山に食べものがあるかどうかです。山に実りがあれば、鹿はそこにいます。山が乏しくなれば、里へ下りてきます。
京都・舞鶴の現場でも、月によって波があります。くわしくはこちらの記事に書きました。
そしてもうひとつ、制度に書かれていない「仕掛けない期間」もあります。お盆です。その話は別の記事にあります。
Rawtoが、箱罠の鹿だけを受け取っている理由
ここまで見てきたとおり、箱罠が万能というわけではありません。それでもRawtoが箱罠に限っているのは、食べものにする側の事情があるからです。
銃を使った捕獲では、弾の破片が肉に残ることがあります。箱罠であれば、そもそも銃を使いません。鉛の混入リスクを、入口の段階で抑えられる。これが最大の理由です。
そのうえで、私たちは金属探知検査を行っています。入口で抑え、出口で確かめる。この二段を省略しません。
もうひとつ、時間の問題があります。舞鶴では、罠に入ったという連絡が朝のうちに入り、その日のうちに処理場へ運ばれます。据え置きの箱罠は、見回りの順路に組み込みやすい。朝に確認して、その日に手を動かすという流れが、結果として鮮度につながっています。
この話を私たちに教えてくれたのは、実はお客様でした。北海道のペットショップの方から、「店頭でいちばん多い質問は『これ、どうやって獲ってるんですか』だから、獲り方はきちんと伝えたほうがいい」と言われたことがあります。
安心には、理由があります。
よくある質問
Q. 箱罠とくくり罠のちがいは何ですか? A. 捕らえ方が違います。箱罠は檻状の装置に誘い込んで扉を閉じる罠、くくり罠は地面に仕掛けたワイヤーの輪で足を締める罠です。箱罠は据え置きで運搬の手間がかかるかわりに、外から中を確認してから対応できます。くくり罠は小さく持ち運べて設置が容易なかわりに、近づくまで状況が分かりにくいという違いがあります。
Q. 箱罠のデメリットは何ですか? A. 主に五つあります。一基あたりの費用と運搬の負担が大きいこと、平地で車が近くまで入れる場所にしか置けないこと、警戒した個体は入らないこと、一度かかりそうになった個体に学習されること、そして毎日の見回りが欠かせないことです。
Q. 箱罠と囲い罠の違いは何ですか? A. 天井の有無と規模が違います。箱罠は天井のある箱状の装置で一基単位、囲い罠は天井のない柵で範囲を囲むもので、より大きく群れを対象にできます。法令上の扱いが分かれる部分もあるため、導入時は自治体の担当窓口でご確認ください。
Q. 箱罠を使うのに免許は必要ですか? A. 必要です。野生鳥獣を捕獲する目的で罠を仕掛ける場合、わな猟免許が要ります。狩猟免許は網猟・わな猟・第一種銃猟・第二種銃猟の4種類に分かれており、罠だけを扱うのであればわな猟免許のみで足ります。あわせて、狩猟なら狩猟者登録、被害防止目的なら行政の許可が必要です。
Q. 箱罠とくくり罠では、どちらがよく獲れますか? A. 罠の種類では決まりません。獲れる量を左右するのは、その年の山に食べものがあるかどうかです。山が乏しい年は里へ下りてくる個体が増え、実りのある時期は減ります。地形によって設置できる罠が変わるため、現場では両方が使い分けられています。
Q. Rawtoの鹿はどの罠で獲られていますか? A. すべて箱罠です。銃を使わないため、鉛弾の破片が肉に残るリスクを入口の段階で抑えられます。あわせて金属探知検査を行っています。