二坪の小屋が、建つ。
Aug 23, 2026
加工場の建物のなかに、もうひとつ小さな部屋を作る計画が進んでいます。
広さは約二坪。空調を一台入れて、温度を管理できる作業スペースをひとつ増やす。それだけの話です。
それだけの話が、いまいちばん楽しみにされていることでもあります。
いまも、温度は管理しています
夏場の作業では、まず温度をどう保つかを考えます。
加工場ではスポットクーラーを使いながら作業を進めています。そのうえで、作業をひと区切りするたびに、肉を冷蔵庫へ戻します。 再開するときにまた出す。一日のうちに、これを何度も繰り返します。
手間はかかります。歩く距離も増えます。
それでも、「面倒だから省く」という選択肢はありません。 温度が上がる時間を作らないことが、この季節のいちばん大事な作業だからです。
私たちのフードの品質は、そのほとんどがこの地味な往復でできています。
手間を減らすのではなく、基準を上げる
二坪の部屋に空調を入れると、何が変わるのか。
その空間ごと、温度を管理できるようになります。
冷蔵庫との往復が減るというより、肉が置かれる場所そのものが、はじめから温度管理された空間になる。いま人の手と足で守っているものを、設備の側でも支えられるようになる、ということです。
いまの基準を維持するための工事ではありません。いまの基準を、もう一段上げるための工事です。
骨組みは、再利用の木材で
作ってくれるのは、知り合いの建築関係の方です。
骨組みには、現場から引き上げてきた木材を使います。まだ十分に使える柱を組み直し、屋根はトタンを買い足す。空調も、余っていた一台を移設します。
新しく買い揃えるのではなく、あるものを活かす。
Rawtoが獣害対策で捕獲された鹿を使っているのと、たぶん同じ考え方です。使えるものが、使われないまま終わるのはもったいない。 私たちが「サステナビリティ」という言葉をあまり使わずに済んでいるのは、現場が最初からこういうやり方をしているからだと思います。
続けるための、休む設計
夏のあいだ、加工場はこんなローテーションで動いています。
| 内容 | |
|---|---|
| 土日 | 個体の受け入れを止める |
| 平日 | 受け入れ・解体・冷凍加工をまとめて行う |
| 毎日 | その日に加工しきれない分は、パックして冷凍する |
受け入れを止める日を作るのは、扱いきれる量しか受けないためです。
一日に処理できる量には上限があります。それを超えて受け入れれば、どこかで雑になる。だから最初から、超えないようにしておく。
止まっている日があるのは、手を抜いているからではありません。逆です。
品質は、どこにあるか
原材料は鹿肉のみ。粗たんぱく質66.1%、粗脂肪10.3%(Rawto実測値)。銃を使わない箱罠での捕獲、金属探知検査、獣医師の監修。
こうした数字や体制は、書こうと思えばいくらでも書けます。
けれど実際にそれを支えているのは、決めた手順を、毎日きちんと繰り返せる状態のほうです。暑い日も、雨の日も、同じようにやれること。
二坪の部屋は、まだできていません。これから建ちます。
できたら、また書きます。
MAIZURU LETTERS ─ 舞鶴からの便り。