二坪の部屋で何が変わるかの図。いまは作業台と冷蔵庫を何度も往復しているが、今後は部屋ごと温度を管理できる 二坪の部屋で何が変わるかの図。いまは作業台と冷蔵庫を何度も往復しているが、今後は部屋ごと温度を管理できる

二坪の小屋が、建つ。

加工場の建物のなかに、もうひとつ小さな部屋を作る計画が進んでいます。

広さは約二坪。空調を一台入れて、温度を管理できる作業スペースをひとつ増やす。それだけの話です。

それだけの話が、いまいちばん楽しみにされていることでもあります。

いまも、温度は管理しています

夏場の作業では、まず温度をどう保つかを考えます。

加工場ではスポットクーラーを使いながら作業を進めています。そのうえで、作業をひと区切りするたびに、肉を冷蔵庫へ戻します。 再開するときにまた出す。一日のうちに、これを何度も繰り返します。

手間はかかります。歩く距離も増えます。

それでも、「面倒だから省く」という選択肢はありません。 温度が上がる時間を作らないことが、この季節のいちばん大事な作業だからです。

私たちのフードの品質は、そのほとんどがこの地味な往復でできています。

手間を減らすのではなく、基準を上げる

二坪の部屋に空調を入れると、何が変わるのか。

その空間ごと、温度を管理できるようになります。

冷蔵庫との往復が減るというより、肉が置かれる場所そのものが、はじめから温度管理された空間になる。いま人の手と足で守っているものを、設備の側でも支えられるようになる、ということです。

いまの基準を維持するための工事ではありません。いまの基準を、もう一段上げるための工事です。

骨組みは、再利用の木材で

作ってくれるのは、知り合いの建築関係の方です。

骨組みには、現場から引き上げてきた木材を使います。まだ十分に使える柱を組み直し、屋根はトタンを買い足す。空調も、余っていた一台を移設します。

新しく買い揃えるのではなく、あるものを活かす。

Rawtoが獣害対策で捕獲された鹿を使っているのと、たぶん同じ考え方です。使えるものが、使われないまま終わるのはもったいない。 私たちが「サステナビリティ」という言葉をあまり使わずに済んでいるのは、現場が最初からこういうやり方をしているからだと思います。

続けるための、休む設計

夏のあいだ、加工場はこんなローテーションで動いています。

内容
土日 個体の受け入れを止める
平日 受け入れ・解体・冷凍加工をまとめて行う
毎日 その日に加工しきれない分は、パックして冷凍する

受け入れを止める日を作るのは、扱いきれる量しか受けないためです。

一日に処理できる量には上限があります。それを超えて受け入れれば、どこかで雑になる。だから最初から、超えないようにしておく。

止まっている日があるのは、手を抜いているからではありません。逆です。

品質は、どこにあるか

原材料は鹿肉のみ。粗たんぱく質66.1%、粗脂肪10.3%(Rawto実測値)。銃を使わない箱罠で獲られた鹿だけを受け取ることと、金属探知検査。

こうした数字や体制は、書こうと思えばいくらでも書けます。

けれど実際にそれを支えているのは、決めた手順を、毎日きちんと繰り返せる状態のほうです。暑い日も、雨の日も、同じようにやれること。

二坪の部屋は、まだできていません。これから建ちます。

できたら、また書きます。

MAIZURU LETTERS ─ 舞鶴からの便り。

→ 大量には、作れません。(生産体制について) → 鹿は、いつ獲られているのか。

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